IP電話導入とネットワーク刷新で劇的に変わる保険業務2006年01月11日 

顧客の立場に立ったサービスの在り方を模索


1990年代後半の金融制度改革以降、国内の生命保険業界は外資系の強力なプレーヤーを迎え、大規模な企業再編が行われた。ひとまず落ち着いたかに見える生保業界だが、少子化や2007年問題といった社会情勢の変化を受けて、市場における顧客獲得競争は激しさを増す一方だ。そうした中で各生命保険会社は、「自分たちの強みや独自性とは何か」ということを自問しながら、自社のサービスや商品を見直す動きを見せている。


今回登場する太陽生命保険は、40歳以上の中高年齢層をターゲットとした終身保険「太陽生命の保険組曲」などに力を入れている国内の生保だ。同社は2004年4月に大同生命保険、T&Dフィナンシャル生命保険と経営統合し、「株式会社T&Dホールディングス」という持株会社を設立した。


現在その傘下には、中小企業市場を中心に無配当の定期保険商品をはじめバラエティ豊かなラインナップを特長とする大同生命保険と、金融機関の窓口販売で変額個人年金保険をメインに取り扱うT&Dフィナンシャル生命とともに、3社がその独自性を明確にしながら並存している。


そうした中で太陽生命保険は、比較的高い年齢層の顧客を抱え、全国150拠点のネットワークを生かした地元密着型の位置づけだ。支社の営業担当者と顧客が長い期間、世代を超えて“おつき合い”していくようなイメージであり、同社はそれを大切にしているというスタンスだ。


それを端的に示す一つの例が、コールセンターでの対応方法である。


現在、一般的に大手の金融機関などエンドユーザー向けの「コールセンター」に電話をかけると、最初は自動音声応答で対応しているところが少なくない。顧客の要件によって、該当する番号を入力(ダイヤル)していき、必要な情報を引き出したり手続きを済ませる仕組みだ。自動音声応答のフローではどうしても問題が解決しない場合、最終的に人間のオペレーターに転送される。


多くの顧客は自動音声応答の仕組みに慣れている。企業にとっても、限られた数のオペレーターで日々の膨大な数の問い合わせをさばき、「つながらない」「待たせられる」といった顧客からのクレームを回避するためには、自動音声応答システムの活用は一つの重要な選択肢だ。


ところが太陽生命保険の場合は、顧客が電話をかけてきた時に「人間が対応する」ことにこだわる。高齢の顧客が問い合わせするために電話をかけた時、自動音声応答だと電話を切ってしまうことが多いためだ。同社は顧客が戸惑わないよう、契約した支社に電話をかけると地元の支社の事務担当者と会話ができ、そこから必要に応じてコールセンターに転送してもらえるなど、顧客の立場に立ったサービスの在り方を模索している。


太陽生命保険は、2001年から数年かけて、顧客情報管理システムを刷新すると同時に、埼玉県にあるコールセンターにおける受電業務(顧客からの電話を受け付けて問い合わせに回答したり、保険に関連する諸手続を行うこと)を一元的に集約するために、インフラの再構築を行ってきた。それぞれの詳細については、この後すぐに解説するが、こうした取り組みを行うことによって、太陽生命保険は顧客の情報を最適なタイミングで的確に把握し、顧客との密接な関係性を確保・維持していくことを目指す。


今回、太陽生命保険が取り組んだのは大きく二つだ。


(1)IP電話の導入
・本社と全国150拠点にIP電話網を導入(2004年11月までに全国支社設置完了(当時149拠点、2006年1月営業課の新設にともない1拠点追加))
・支社からコールセンター(さいたま市)に転送される通話を無料化
・約6800億円の通話コスト削減


(2)支社ネットワークの刷新
・全国150拠点をつなぐネットワークにIP-VPNを導入
・基幹の情報システムの運用に耐え得るネットワークを構築
・バックアップ回線も高速なネットワークにし、平常時向けにWEB会議システムを設置
・約1億円のネットワーク費用を削減

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