生命保険/予定利率の移り変わり
生命保険の契約は、あらかじめ見込んだ予定利率によって運用されます。
契約時の保険料も、この予定利率によって、前もって逆算されたものです。
過去20年にわたる予定利率の移り変わりは、ある重大なことを物語っています。
保険の契約時に、あらかじめ見込んだ運用利回りのことを、
「予定利率」といいます。
契約時の保険料(掛け金)も、
この「予定利率」によって、あらかじめ逆算されたものです。
また、解約返戻金等も、
この「予定利率」によって、あらかじめ決まっています。
つまり、「変額保険」などを除き、一般の保険(「確定保険」といいます)は、
契約時に、すでに未来が決定しているのです。
保険料も解約返戻金も、いったん契約がスタートしてからは、
保険会社は動かせません。
銀行の「固定金利」のようなものです。
高い予定利率でスタートした契約は、
15年契約であろうと、30年契約であろうと、
最初に約束した「予定利率」を守る義務が、保険会社にはあります。
経済情勢が大幅に変わったからといって、
途中で変更するわけにはいかないのです。
もっとも、現在は、法律の改正により、
この、本来固定であったはずの「予定利率」を、
保険会社の都合により変更してもいいことになっています。
しかし、実際に変更するには、いくつかの条件が付きます。
また、「予定利率」を変更した場合、
その会社の評価は、当然ながら、急降下します。
信用を失い、以後の新契約は、ほとんど期待できないでしょう。
要するに、最後の最後に残された<禁断の手段>であり、
この手段を使うときは、会社としても「終焉」が見えているときなのかもしれません。
したがって、法的に変更が可能だからといって、簡単に行使できる制度ではありません。
さらに、保険会社が自主的に「予定利率」の変更をしなかったとしても、
会社が破綻してしまえば、変更したのと同じ結果となります。
つまり、破綻した会社の契約は、
たとえば、個人年金や終身保険などの場合、
当初の約束よりも少ない保険金額なり給付金額になるでしょう。
解約返戻金の額も少なくなります。
「保険契約者保護機構」というものがありますが、
この機構をもってしても、責任準備金の9割までしか保証されません。
しかも、この保証も、確定的なものではなさそうです。
イザというとき、政府が公的資金を投入するかは、未だ約束されていないからです。
なお、「予定利率」は運用利率のことですが、
ここでいう「運用」は、
あくまでも、保険料の一部を「運用」しているだけです。
具体的には「責任準備金」といわれるものです。
したがって、銀行の利率とは異なります。
銀行の利率は、
預かった金額全体に適用されますが、
「予定利率」は、預かった保険料の一部に適用されるだけです。
近年の「予定利率」は1パーセント台ですが、
それでも銀行の金利に比べれば、はるかに高い利率です。
しかし、上に述べたように、
預かった保険料全体に1パーセント台の利率が適用されるわけではないのです。
ここで、過去20年ほどの「予定利率」の移り変わりを見てみます。
タテが利率、ヨコが年です。
国内大手における10年超の保険に適用された数字です。
(保険会社や保険種類により、多少の違いはありますが、
ひとつの目安にしてください。絵に描いたような右肩下がりの図ですね)

※上の図を見ると、
いわゆる<逆ざや>というものの意味がよくおわかりいただけると思います。
たとえば、90年前後の契約は、
みな5パーセントを超えています。
この頃の契約を保険会社が大量に抱えていた場合、
高い運用を約束しているわけですから、
経営は、もう大変です。
保険会社が、こうした古い契約(契約者にとってはいい契約)を、
「予定利率」の低い新しい契約に変えさせたい気持ちは、じつによくわかります。
実際のところ、多くの国内生保は、
「予定利率」の高いこうした契約をたくさん抱えているのです。
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